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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品

第13回 ハートウォーミング賞作品・入選者

小さな出来事から得たこと

石原 奏哉(鹿児島県・日置市立伊集院中学校)

 ある日の登校中、ぼくと友達の横を大急ぎで走り抜けていく小学一年生がいた。「危ないな。」と思っていたら、目の前で石につまずいて派手に転び、大泣きし始めた。ぼくたちはさっと駆け寄り、
「大丈夫。」
と声をかけ、立ち上がらせた。大きなけがではなさそうだったが、ひじやひざをすりむいていた。皮ふには赤い点が浮き出て痛そうだった。ぼくたちは、その子が落ちつくまで少し待ち、
「歩いて学校まで行ける。」
と聞いてみた。しかし、その子はまだ泣き顔で、ぶんぶんと顔を横に振った。ぼくと友達は、顔を見合わせた。
「どうする。」
「一人じゃ歩けなさそうだし、学校まで運ぶか。」
「でも、ぼくたちも荷物がいっぱいだし、小学校まで運べるかな。」
 ぼくたちは困ってしまった。
 初めは焦っていて思いつかなかったが、ようやくいいアイデアがひらめいた。
「じゃあ、この子をおんぶする人と、荷物を持つ人に分けようよ。」
「ああ。それいいね。」
 友達も賛成し、この方法で運ぶことにした。自分でもなかなかいい案だと思った。
 友達が小学生をおんぶし、ぼくが、三人分の荷物を運ぶことになった。三人分の荷物は、予想以上に重かった。でも、まだ涙目の小学生の気持ちが、痛みからそれるように、話しかけながら歩いた。
「好きなゲームは何。」
「小学校には慣れた。」
 たわいもない雑談をして小学校を目指した。
 何カ月ぶりの小学校までの道のりは、なつかしくて楽しかった。小学校の保健室に着いて、先生に訳を説明すると、
「わざわざありがとう。重かったでしょう。」
とお礼を言われた。転んだ子も
「ありがとう。」
と照れくさそうに言った。ずっと泣いていたが、やっと笑顔を見せてくれた。
「もう転ばないように、気をつけてね。」
 そう言って、ぼくたちは中学校へと急いだ。小学校を出るまで、バレー少年団の後輩や友達など、たくさんの小学生に見られて、少し恥ずかしかった。でも、ぼくは、何だかほこらしい気持ちでいっぱいだった。
 数日後、先生から校長室に行くよう言われた。「校長室に呼ばれるなんて、何か悪いことでもしたかな。」どきどきしながら、ぼくは友達と校長室に行った。すると、校長先生は、あの日の出来事を話し始めた。あの子のお母さんが、学校にお礼の電話をかけてきたらしい。
「君たちはいいことをしたね。これからも、困っている人がいたら助けてあげてね。」
 校長先生にほめられ、ぼくはうれしくなった。友達と、
「泣いていた子を、ちょっと助けただけなのにね。」
 そう二人で話しながら、笑顔で教室に戻った。
 ぼくは、今回のことで、どんなに小さいことでも人を助けることは、相手に感謝されるだけではなく、自分自身の心も豊かにしてくれるものだと思った。これからも、困っている人がいたら、進んで手を差しのべたい。

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