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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品

第10回 しんくみ大賞青少年部門

支え合う素晴らしさ

瀧 里紗子(岡山県)

 私は、恵まれていると思う。理由は、周りの人が支えてくれているからだ。中学生になってそう思うことが以前より増えた。
 私は、中学一年生の九月に起立性調節障害と診断された。起立性調節障害とは、自律神経系の異常で循環器系の調節が上手くいかなくなる疾患だ。主な症状としては、立ち上がった時に血圧が低下したり、心拍数が上がり過ぎたり、調節に時間がかかりすぎたりする。
 私は、病院の先生に勧められ、学校を三時間目から登校することになった。私の病気のことは、事前に担任の先生からクラスのみんなに伝えて頂いていた。正直、この時私は少し怖かった。クラスのみんなは私のことをどう思うんだろう。色々考えてしまった。でも、いざクラスに入るとみんないつも通り変わらず接してくれた。そして、私の病気のことを知って、理解してくれた。私がしんどそうにしていると、優しく声をかけてくれて、保健室まで連れて行ってくれた。私は、前まで自分が悩んでいたことが馬鹿らしく感じた。私のクラスのみんなは、優しくて人のことを思いやれる人達なのに何を怖がっていたんだろう。私の体調を毎朝聞いてくれて、良い日にはすごく喜んでくれる子。私が学校に行けなかった時、毎回LINEで連絡して来てくれる子。「辛くなったらいつでも頼ってよ。頼ってくれんと心配になるけえ。」と私の心を軽く、温かくしてくれる子。私が参加できなかった授業のノートをわざわざ分かりやすくまとめて見せてくれる子。楽しい話や面白い話をして私を元気づけてくれる子。自分の周りには、素晴らしい人しかいなかった。本当に自分は恵まれた環境にいるなと改めて思った。
 先生は、体調が良い時には沢山話しかけてくださり、笑わせてくださった。あまり学校に来ることが出来ない私のことを気遣って付きっきりで勉強を教えてくださった。本当に自分は恵まれているなと何度も思った。
 最初は、病気ということを知られたくなかった。だけど、今では、この病気のことをもっと沢山の人に知ってもらって、私と同じ病気の子が理解されるような環境になってほしい。
 今、私の病気はどんどん回復している。だから、一日でも早く治して、今までお世話になった人達に恩返ししたい。感謝の気持ちを沢山伝えたい。私がしてもらったように、支えてあげたい。助けてあげたい。励ましてあげたい。
 私がこの病気になって知ることが出来たのは、自分のしたいことが出来ない苦しさや、辛さや、悔しさ。でも、それ以上に知ることが出来たのは、人の温みや人が人を思いやる心。そして、人と人が支え合って生きる、素晴らしさだ。

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