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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品

第10回 優秀賞一般部門

助け合いの木

松田 良弘(大阪府)

 先日、スーパーで買い物をしていると、小学校低学年ぐらいの男の子が、棚の上のお菓子を取ろうと必死に背伸びをしていました。するとそばにいた女性が、
「これかな?はいどうぞ」
と言って、お菓子をとってあげました。
「ありがとうございます!」
男の子は丁寧に女性にお礼を言い、その場から離れて行きました。
 しばらくするとさっきの男の子が、今度は辺りをキョロキョロ見渡しながら歩いていました。そして何かを見つけたように、一人のおじいさんのそばに駆け寄りました。
「お手伝いします!」
おじいさんは重いお米の袋をカートに乗せようとしていました。男の子はそのお米を下から支えるようにして、おじいさんと一緒に無事にカートに乗せることが出来ました。
「ありがとう!」
おじいさんは男の子の頭を撫でながらお礼を言いました。すると男の子は、
「今学校で助け合いの木を育てています。だれか困っている人を知りませんか?」
「助け合いの木?なんだいそれは?」
キョトンとするおじいさんに、男の子は元気よく答えました。
「一つ誰かに助けてもらったら、二つ誰かを助けます。そうやって一人一人が助け合いの枝を増やせば、いつか大きな大きな助け合いの木になります。僕もさっき、おばさんにお菓子をとってもらったから、一つ目のお返しに、おじいさんのお手伝いをしました。だからあと一つ誰かを助けます!」
おじいさんは感心したように、男の子に言いました。
「偉いね!だったらもう一つは、早く家に帰って、おうちの誰かを助けてあげればいいんじゃないかな?」
「そうか!家族のお手伝いをします!ありがとう!」
おじいさんの提案に、男の子は嬉しそうに答えました。しかし指を折りながら、
「あっ、また一つ助けてもらったから、1+2で、ええっと、三つお手伝いをしなくちゃ!」
そう言うと、男の子はバイバイと手を振りながら、お菓子を片手にレジへと向かって行きました。おじいさんも、
「こうしちゃいられない。わしも二つ、誰かを助けなければ」
そうつぶやきながら、手を振って見送っていました。
 今はまだ小さな苗木でも、みんなで大切に育てれば、立派な木に育ちます。そしてその木が集まり、いつか森になります。私もあの男の子に大切なことを教わりました。お返しに、誰かを助けたいと思います。助け合いの木の下で、みんなが笑っている風景を想像しながら。

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