小さな助け合いの物語賞

《青少年部門》

しんくみ大賞(1編)

次は私の番です

津 小春(東京都)

私の両親はコンビニ店を経営しています。コンビニの店長である私の母は毎日忙しく家にいる時間がとても少ないです。私は懸命に働く母を格好いいと思う一方、母と過ごす時間が少なくて寂しいとも思っていました。もっと母にかまってもらいたくて、友達の母親を羨ましく思い嫉妬したこともありました。しかし、あるおばあさんの言葉が私のこの考えを一変させました。その出来事について少し話したいと思います。

ある日、私が母の働く店から出ると、外で信号待ちをしていたおばあさんに声をかけられました。

「いつもいつもありがとう。あなたのお母さんにいつも助けてもらっているの。」

そのおばあさんは私の母にすごく感謝していました。いつも明るい笑顔で一生懸命働く私の母の姿に、おばあさんは活力をもらっているそうです。また、足が悪いことを気遣ってくれ、買い物のお手伝いをしてくれる母に対しおばあさんはすごく感謝していました。自分が感謝されたわけではないけれど、なんだかすごく嬉しい気持ちになりました。そして、母への嫉妬は尊敬の念へと変わりました。

このおばさんのことを母に話すと、母は「ご近所さんには助けてもらってばかりだから少しでも恩返しができていれば嬉しい。」と涙ぐんで喜んでいました。さらに、母はたくさんの人の支援があったから今まで店を続けられたと言っていました。私が小さかった頃、忙しい母に代わって面倒を見てくれた祖母。とれたての野菜を家まで届けてくれる近所のおじさん。忙しい母を気遣い、クリーニングに出した服をわざわざ母の働く店まで持ってきてくれるクリーニング屋のおばさん。母の話を聞いて、私は地域の方の支えがあるから不自由なく快適に生活できていることを知りました。地域の方の支援を当たり前のように思っていましたが、それがどれだけありがたいことか、自分はとても恵まれた環境で育ってきたことを実感しました。

その後、私も何か地域の方の役に立つことをして感謝の気持ちを伝えたいと思いました。そこで、私は地域の方々が快適に生活できるまちづくりのため、区で行われている清掃活動に積極的に参加することを決心しました。体が不自由な高齢の方の掃除をお手伝いしたり、公園や土手のゴミ拾いなどを行っています。小さな活動ですが、地道に積み重ねていけば大きなものとなり、きれいで快適なまちづくりに繋がるはずです。地域の方々に少しずつ恩返しをしていければ嬉しいです。

今までたくさんの地域の方に助けられて育ってきた私。次は私が皆さんを助ける番です。

(原文のとおり掲載しております。)