小さな助け合いの物語賞

《中高生部門》

入選(4編)

人のために

武藤 啓亮 

自分は、中学二年生のとき、学校行事の職場体験で、三日間、消防署に行きました。消防署の消防隊員といえば、火事が発生したらすぐ現場にかけつけ、消火作業を行ったり、救急車で病人やけが人を病院に搬送するというような仕事が一番大きな仕事です。

職場体験の三日間、自分たちの面倒を見てくださった、萬徳さんという方がいました。その人は、小学生の頃に火事で祖父母を亡くし、本気で消防隊員になろうと思ったそうです。

自分達は三日間、消防署で訓練やトレーニングなどでいろいろな体験をしましたが、その中でも自分が一番印象に残っているのは、萬徳さんの話でした。それは、「自分は、人を助けることに、命をかけているし、生きがいを感じている。君たちには、人を助ける大きなことは出来ないかもしれないけど、日常生活の中で困っている人がいたら、小さなことでも助けてあげてほしい。」という、一見普通の言葉ですが、自分の心には、何かささったような気がしました。なぜなら、日常生活の身の回りの中で、小さなことで困っている人を見逃している自分がいたからです。その日以来、自分は小さなことでも困っている人がいれば、できる限りその人を助けようと思いました。

つい最近、バスの中に傘を忘れている人がいたので、自分は走ってその人にその傘を届けました。その人は自分に「ありがとうございます」と言いました。何か物を忘れる人がいて、それをその人に届け、「ありがとう」と言われる。ごく普通の当然のようなことですが、そこになにか温かいものがあるような気がしました。

小さなことですが、それを続けていれば、いつか大きなことで何か良いことにつながると思うので人のためになることをこれからも続けていきたいと思いました。

 

(原文のとおり掲載しております。)