小さな助け合いの物語賞

《中高生部門》

入選(4編)

私がみた助け合い

松田 陸 

私は学校に行くのに毎日、電車を利用しています。朝はサラリーマンや学生が多く乗っていますが、夕方の下校中になると学生はもちろんのことなのですが、お年寄りの方も多く見られます。私の乗っている電車は夕方は比較的空いています。ですが、席に座れない人も当然出てきます。その時にお年寄りの方が立っているのを見ると自分だったら席を譲れるかどうかと、ふと考えることがあります。学校の授業で疲れていても譲れるのか。そんな時、ある出来事で私の電車の中での意識は大きく変わりました。

ある日の夕方、学校から下校している時に電車に乗ったら、もう席が空いていませんでした。心の中では少し座りたいなという気持ちもありましたがしかたなくつり革につかまっていました。するとドアが閉まる少しくらい前に杖をついたお年寄りの男性が乗ってきました。杖もついていたことから少し足が悪そうでした。私は優先席を見ました。そこには何人かのお年寄りと、大きめのヘッドホンをした若い男性で席はうまっていました。杖のおじいさんはしかたなく私の近くのつり革につかまりました。まもなく電車が発車したその時のことです。三十代くらいの女性が杖のおじいさんに「大丈夫ですか。私の席どうぞ座って下さい。」と声をかけたのです。おじいさんはニコッと笑い「ありがとう」とお礼を言って席に着きました。しかし女性は席を譲っただけではありませんでした。女性は優先席に近づいて、ヘッドホンの若い男性に「優先席なんだから考えなさい」と周りの人に迷惑がかからないくらいの音量と口調で言いました。その注意された男性は素直に受けとめていました。

私はこの体験で女性の勇気にとても心を打たれました。おじいさんに話しかけられる勇気と咄嗟に席を譲る優しさ、ヘッドホンの男性に注意できる強さ、その女性は私から見たら完璧な人間でした。私もあの女性のようにどんな方にも親切に振る舞えるカッコイイ人間になりたいと心強く思いました。本当の親切というものを見れて本当によかったです。

(原文のとおり掲載しております。)